ベンダーが言う「AIグロースチーム」とは
ベンダーはこの言葉を、グロースチームの仕事を引き受けるAIエージェントを指して使います。イベントや結果を読み、セグメントを作成し、ジャーニーとその中のメッセージを下書きし、何が起きたかを報告する仕事です。売り込みは組織図の形をとることが多く、職種ごとにエージェントが1つ(ストラテジスト、ライフサイクルマーケター、アナリスト、コピーライター)置かれ、タスクを振り分ける調整役のエージェントが加わることもあります。標準的な定義はなく、この呼び名の製品は、役割ごとにプロンプトを用意したチャットアシスタントから、マーケティングプラットフォームの中で実際に変更を加えられるエージェントまで幅があります。この言葉はAI企業のグロースチームを指すこともありますが、このページで扱うのはもう一方の意味です。
この形は、人間のグロースチームから借りたものです。グロースチームのつくり方に関するAndrew Chenのガイドは、グロースPM、グロースエンジニア、グロースマーケター、アナリスト、デザイナーを挙げ、チームが解こうとしている課題によって構成は変わりうると述べています。こうした人間の職種については、グロースの仕事とAIシリーズのグロースチームの役割分担で解説しています。
例:1つのエージェントで、1つのウェルカムジャーニー
Claude、Cursor、Codexなど、すでに使っているエージェントを1つ取り上げます。配信に使うプラットフォームにMCPで接続しておけば、エージェントはそこでデータを読み、セグメント、テンプレート、ジャーニーを作成できます。以下は説明のための例で、新規登録者向けのウェルカムジャーニーを5つのステップで扱います。各ステップは平易な依頼から始まり、エージェントは手順を書いて人に任せるのではなく、ツールを呼び出して応えます。これがエージェントとチャットボットを分ける線です。
この例では、人がそれぞれの目標を設定し、公開前に下書きを読み、何を改善するかを選んでいます。エージェントは読み、構築し、報告し、書き直します。最初から最後まで1つのエージェントで、ツールも1セットです。組織図の上では、この5つのステップはいくつもの職種にまたがりますが、ここでは引き継ぎがありません。最後のステップがしなかったことにも注目してください。稼働中のメールには手を付けていません。稼働中のジャーニーが使っているメールを編集すると、すでに進行中の送信が変わる可能性があるからです。
エージェントは1つか、チームか?
AIを役割名の付いたエージェントに分けるのは、プロンプトと引き継ぎを整理する方法の1つです。各エージェントに職種名と狭い担当範囲を与え、調整用のレイヤー(一般にエージェントオーケストレーションと呼ばれます)がタスクを振り分け、エージェントからエージェントへ文脈を渡します。役割名の付いたエージェントは正当な設計の1つですが、先の例を機能させたのはそれではありません。
例を機能させたのは3つの要素です。テンプレートとジャーニーの下書きを作成するツール、イベント、プロファイル、結果への読み取りアクセス、そして顧客に何かが届く前の停止点です。職種名はツールもデータも増やしません。1つのエージェントを複数に分ければ、管理すべき引き継ぎが増えます。Anthropicは効果的なエージェントのつくり方に関するガイドで、エージェントを、環境からのフィードバックに導かれながらループの中でツールを使うLLMにすぎないことが多いと説明し、ツールとそのドキュメントは明確に、注意深く設計する必要があると結論づけています。
同じガイドは、できるだけシンプルな解決策を探し、必要なときにだけ複雑さを加えることを勧めています。また、Anthropicが関わった数十のチームのうち、最も成功した実装は複雑なフレームワークではなく、シンプルで組み合わせ可能なパターンを使っていたと報告しています。並行して動くタスクや、1つの会話に収まらないほど大きな文脈など、エンジニアリング上の理由で仕事を分けることが理にかなう場合もあります。グロースの仕事についての私たちの見方はこうです。適切なツールを持つ有能なエージェント1つから始め、エージェントを増やすのはタスクが必要とするときです。組織図に合わせるためではありません。
機能するかどうかを決めるもの
職種名を取り払うと、3つの問いが残ります。エージェントが1つでも複数でも、どのプラットフォームでも当てはまり、チームが小さいほど重要になります。送られるものを見ている人が少ないからです。
| 基準 | 確認すべきこと | よい答えの例 |
|---|---|---|
| 何を変更できるか | エージェントはプラットフォーム内でどの操作を実行できるか | セグメント、テンプレート、ジャーニーの下書きなど、作成や編集の対象が名前のあるオブジェクトであること。誰かがあらためてセグメントやジャーニーに仕立てる必要のあるテキストではないこと。 |
| 何を読めるか | 下書きの前に何を見ているか | 構築先のプラットフォームにあるイベント、プロファイル、セグメント、結果。白紙のプロンプトではないこと。 |
| 人がどこで確認するか | 顧客の目に触れる前に何が止まり、何が即座に反映されるか | 明確な線引き。ジャーニーは公開されるまで下書きのまま、公開には明示的なステップが必要、どの編集が保存時に反映されるかをベンダーが明示していること。 |
リストにないものに注目してください。エージェントの職種名です。結果を見られない「ストラテジスト」は推測で下書きし、名前のないエージェントでも適切なツールとデータがあれば、人が実際にとった行動をもとに下書きします。ベンダーの主張をより詳しく見極めるには、エージェンティックマーケティングとは何かをご覧ください。
人はどこで確認するか
3つの問いのうち、最も重要なのは最後の1つです。マーケティングエージェントの確立したパターンはヒューマンインザループで、エージェントが提案し、何を公開するかは人が決めます。実際には、確認ポイントは1つのスイッチではなく3つの場所にあり、ベンダーはそれぞれで何が起きるかを正確に説明できるはずです。
エージェントが力を発揮するのは、定義された繰り返しの仕事で、データが1か所にそろっている場合です。オンボーディングや休眠顧客の掘り起こしのジャーニー、セグメントの構築、週次レポートなどがそうです。どんな構成でも人に残る判断があります。今四半期に重要な指標は何か、ブランドはどう語るか、どの賭けに予算をかける価値があるか。エージェントは選択肢を下書きできます。AIはマーケティングチームの代わりになるかのガイドも、同じところに線を引いています。
fromHelloの位置づけ
fromHelloは、オープンソースのマーケティングオートメーション(MA)ツールで、人の行動をきっかけに届くメッセージを扱います。手持ちのAIは、fromHelloのMCPサーバーを通じてfromHelloを操作できます。MCPサーバーは、Claude、Claude Code、Cursor、Codex、Windsurf、VS Code、その他のMCPクライアントに59種類のツールを提供し、分析データとプロファイルの読み取り、セグメント、ジャーニー、テンプレート、カスタムフィールド、イベントマッピングの作成ができます。例の5つのステップ(発想、構築、記録、分析、改善)はすべてこれらのツールで動き、MCPの呼び出しが従量課金の対象になることはありません。組み込みアシスタントも同じツールを使います。セグメント、ジャーニー、テンプレートを一文で説明すれば構築し、ジャーニーは下書きとして届きます。
先の3つの確認ポイントを順に見ていきます。下書き:fromHelloのAIツールがメッセージを送信することはなく、お使いのAIが作成したジャーニーは、公開されるまで下書きのままです。エージェント経由での公開、一時停止、削除には、お使いのAIクライアントでの確認ステップが必要で、そのクライアント自身の権限設定に従います。保存した編集:それ以外の編集(セグメントやテンプレートの変更など)は保存した時点で反映されるため、すでに稼働中のジャーニーに及ぶことがあります。送信時:パーソナライズはメールステップごとのオプトイン(Light、Medium、Deep)で、プロファイル、メモ、過去のメールをもとに受信者ごとに各メールを書き換えます。メッセージごとのレビューはありません。AIの処理に失敗した場合、初期設定では送信を保留します。MCPツールの呼び出しは監査ログに記録されます。
このうち、保存した編集と送信時の2つの答えは、売り込みで語られるほどすっきりしたものではありません。確認ポイントを書いたのは私たちなので、その点を踏まえて私たちの答えを評価してください。よく知っているツールとfromHelloを比べるには、fromHello vs Customer.ioまたはfromHello vs HubSpotをご覧ください。